「サイエンスEネットの親子でできる科学実験工作」
 (かもがわ出版) にも収録された内容です。







 大きなはく検電器

用意するもの
ステンレス板(およそ5×10cm)、紙製の大きい空き箱、ハンカチ
チョコレートの包み紙、カッター、両面テープ、セロハンテープ
塩化ビニルパイプ(20〜30cm)、小さい発泡スチロール(2)

準備では次のことに注意して下さい
 チョコレートの銀色の包み紙の代わりに料理用のアルミホイルでもいいです。
 ステンレス板や塩ビパイプ、アクリルパイプは、日曜大工のお店で安く売っています。ステンレス板がない場合は、ステンレスのスプーンを代わりに使いましょう。
 静電気は湿気がきらいです。部屋は乾燥させておきましょう。晴れた冬なら暖房を入れておき、晴れた夏なら部屋にクーラーをかけ、除湿しておくと成功しやすいです。

はく検電器の作り方
(1)板チョコレートの銀色の包み紙はアルミはくです。平らにはがします。
(2)アルミはくを、図のような形で、最大幅3cm、長さ15cmくらいの大きさになるようカッターで切ります。同じものを2枚作っておきます。
(3)図のようにステンレス板の中央に、セロハンテープでアルミはく2枚を貼り付けます。少しずらすのがコツ。
 アルミはくを下にたらしたとき、ほぼ真下にたれることを確認しておきましょう。2つのアルミはくどうしが、くっつくかくっつかないかのぎりぎりになるように、アルミはくの取り付け部分やアルミはくの曲がりを手や鉛筆の先で調整します。(この作業がとても大切!)

(4)箱の上面と、側面に長方形の穴をあける。
(5)上面の穴の両横に、発泡スチロールの板を置き、両面テープで固定。
(6)その上からステンレス板を置き、これも両面テープで固定しましょう。
(7)塩ビパイプとかわいたハンカチをこすり静電気を発生させ、ステンレス板に近づけます。アルミはくが開けば成功。開かない場合は、アルミはくの取り付けを調整したり、ハンカチを別のものにかえましょう。

はくが開いているところ


実験してみよう

(1)塩ビパイプのはしを持ち、もう一方のはしをハンカチで何回かこすると、塩ビパイプはマイナスの電気を持ちます。
(2)それをステンレス板へ近づけます。決してステンレス板に触れないようにしましょう。するとアルミはくが開きますね。このとき塩ビパイプのマイナスに引き寄せられて、ステンレス板はプラスの電気が集まり、遠いところにあるアルミはくはマイナスの電気が集まります。このような現象を静電誘導(せいでんゆうどう)といいます。2つのアルミはくはどちらもマイナスの電気が集まっているので、反発力が生まれます。そのためアルミはくは開くわけです(これを検電状態といいます)。


(3)では、塩ビパイプを遠ざけます。するとアルミはくはもとのように閉じます。初めの状態に戻ったからですね。
(4)(2)の状態にしておきます(塩ビパイプをステンレス板に近づけてアルミはくを開けておきます)。塩ビパイプを近づけたままもう一方の手でステンレス板をそっと触れます。さあアルミはくはどうなりますか? 予想しましょう。それから実験です。きっと閉じたでしょう。実は手を触れた瞬間にアルミはくに集まっていたマイナスの電気が手から体をつたってにげたのです! 人体も電気を通すからですね。
(5)手をはなしたあと、そのまま塩ビパイプを遠ざけると、こんどは閉じていたアルミはくはどうなりましたか? 開きましたね。ステンレス板に引き寄せられていたプラスの電気が、ステンレス板やアルミはくの全体に広がったのです。アルミはくにもプラスの電気がやってきたので、反発力で開いたのです。
(6)この開いているアルミはくを閉じさせて、初めの状態に戻すにはどうすればいいですか? 自分でいろいろ試してみましょう。そうです。ステンレス板に軽く手で触れるだけでいいのです。
(7)はく検電器全体をプラスにする方法は(5)の通りです。では、はく検電器全体をマイナスにする方法を考えて下さい。
 まずステンレス板に触れて、電気をなくしておきます。つまり初めの状態に戻しておきます。そしてハンカチでこすった塩ビパイプをステンレス板にこすりつけます。ステンレス板のふちのところにこすりつけると成功しやすいです。アルミはくはきっと開くでしょう。このとき、はく検電器全体はマイナスになっています。


大人の方へ
 ・包み紙によっては、表面被膜として絶縁体をかぶせてあることがあります。ライターの火をあっぶて白い煙が出てこげるようであれば、別のものにして下さい。
 ・小型のはく検電器を製作するときは、料理用アルミホイルでなく、必ずチョコレートの包み紙かガムの包み紙からアルミはくをはがしたものを使って下さい。小型のときは塩ビパイプの代わりにストローでも実験できます。ただし発泡スチロールは必ず使用して下さい。

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