2011年センター試験「物理 I 」について

2011.3.28.

2010年のセンター試験「物理」の問題を解きました。
問題はたとえばこちら(PDF形式)で見ることが出来ます。ご参照ください。

下記の内容は以前ブログで掲載した文章に,加筆修正を行ったものです。

はじめに

昨年の計算量と比べると,今回はましだったように思う。ただ,ケアレスミスを招きそうな問いもあるので,「これは簡単」などと思って侮らずに丁寧に考えないといけない。
また問題によっては,やや深めの思考を要する。時間は十分あると思われる。
平均点は64.08点(大学入試センター中間集計その2)で,昨年の54.01点を大きく上回る。
   cf. 平均点 化学56.58 生物63.37 地学64.31

全体として良問が多く,物理Uとのグレーゾーンもなく,平均点も良い値となった。標準偏差はやや小さいが,理系受験生が多い科目としてはうなずける。
   cf. 標準偏差 物理18.59 化学20.96 生物20.21 地学23.27

第1問

例年通り小問集合。1問あたりの配点は意外に高い(5点)。
満遍なくどの分野からも出されている。問2のグラフをまともに書こうとすると時間を浪費する。特に理系の受験生は頑張ってしまうといけない。グラフの形よりも縦軸の目盛りに注目して θ=90° のときを考察するのがよいと思われる。
3は身近なものを題材にしている。誘電分極を思い出し,文の読み間違いのないようにしたいところ。
問4は光の屈折を連想すると思うツボ。設定の違いをよく理解しなければならない。
問6は2008年センター試験の次元解析を思い出させる類似の問題か。

2007年からの新課程入試から徐々に物珍しい問題もなりを潜めてきており,そういう意味で安定化してきている。実験を題材にした出題もある程度維持されており,出題者の熱意や工夫を随所に感じられる。昨年のような違反の疑いのある出題(センターは違反と思っていない模様)もなく,全体として落ち着いた良問であると思う。それでいて深さのある設問もあり,実力をうまく測れる仕上がりとなったのではないか。

第2問

電磁気の問題。前半は直流回路で後半は電磁誘導。
電球を扱った問題は,問題集には典型的な問題がよく収録されているが,少し意外なことを尋ねている。0Aの時と0.4Aの時を考えると答えが出る。個人的には面白い問題と感じた。
グラフは,なぜか縦軸と横軸を入れ替えて与えている。普通は原因が横軸で,結果が縦軸とすることが多いのに。目くらましかと思ったが,後でグラフの合成(電圧の足し算)を行うことから,このようなグラフにしたのだろうと思われる。

後半,問3も問4はそんなに難しくはないが,電磁誘導のキモを押さえておくことが肝要。1円玉の渦電流は僕の授業では必ず見せて,全生徒に実験道具を回して取り組んでいる。
少し小言を言うと,電磁誘導を2回も問わなくてもいいだろう。フレミングの左手の法則など,他に問うことはあるはず。

第3問

凹レンズは余白に簡単な図を描くと,確認できてよい。うろ覚え禁物。
凸レンズはレンズ公式を書いて,定性的に考えるとよい。
音波の干渉問題はいろいろ工夫があり,良問だと思う。圧力変化のグラフが出たが,周期だけ調べればよい。ちなみに逆位相の問題は昨年も出たが,受験生の正答率が知りたいところ。

波動一般,音波,光波というふうに3分野ともの出題であり,出題努力が伺える。逆にセンター試験ではヤマを張る必要がないということだろう。

第4問

ばねの問題はありふれた問題。ケアレスミスのないようにしたい。
2物体の摩擦の問題はよく考えられた設定だ。選択肢は多いがきちんと計算して答えを出せるので,実力の差が出たであろう。
気体の問題はセンター試験にしては少々難しいか。圧力を未知数として式を立てると苦しいかもしれない。圧力が一定であると見抜けるかがポイントで,考察力が問われる。

気体の問題は年によって物理IIとのグレーゾーンになることもあったが,今年は大丈夫であった。昨年の違反の疑いが濃い出題からの反省か?

備考

過去のセンター試験問題における評価委員会報告書が下記URLからたどれるので,参照してください。
http://www.dnc.ac.jp/modules/center_exam/content0092.html